王家の象徴・龍の衣裳/龍の漆器と書
特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。
今月は2024年最初の特別展として今年の干支である辰にちなみ、王家の象徴である龍の文様の衣裳をご紹介します。
琉球では龍は王権の象徴とされていたため、龍の衣裳をまとうことができたのは王家の人々だけでした。
「御後絵(おごえ)」は国王の死後描かれた肖像画で、国王はたくさんの龍が織りだされた正装の「唐衣裳(とういしょう)」をまとっています。現在見ることのできる御後絵は白黒写真ですが、国王の子孫が遺した唐衣裳や龍文の布から、その色が極彩色だったことが分かります。
王家に伝わった衣裳の中には、龍文が全身に配された紅型(びんがた)があります。華やかな紅色地に龍文の描かれた衣裳は、王家ならではのものといえます。
また、今回も前回に引き続き沖縄県立芸術大学の所蔵する尚育王の御後絵のパネルを展示しています。
調度品も龍が描かれた漆器や書をご紹介します。
中国では古くから、鳳凰(ほうおう)、麒麟(きりん)、亀、龍を四瑞(しずい)と呼び、めでたいときに現れる生き物とされ、崇められてきました。
さらに龍は東西南北を守る神・四神(しじん)のひとつであり、青龍(せいりゅう)として東の方角をつかさどります。
琉球王国時代に様々な形であらわされた龍をどうぞご覧ください。
文書資料は、伊江御殿家資料をご紹介します。
伊江御殿家は摂政や行政機関の長など、高官を歴任しました。
その伊江御殿家に代々受け継がれてきた伝来品は、当時の上級身分の生活の一端を垣間見ることができる貴重な資料群であり、2002年には沖縄県有形文化財に指定されました。
その後、2019年には県指定を受けた一部が国の重要文化財指定を受けました。
文書・記録類は家譜、職歴関係記録や首里之詔(しゅりのみことのり)(辞令所)、生子証文(出生届)、口上覚等があります。特に首里之詔は、重要な役職や地頭地(ぢとうち)(所領)を与える最も格の高い文書で、伊江御殿家には25通も伝来しています。
王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をぜひご覧ください。
※「龍の漆器と書」は2月28日(水)まで